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2022.09.02

地域課題導入セミナーⅠを実施しました

令和4822日(月)~24日(水)、地域課題導入セミナーⅠのフィールドワーク合宿を本学京丹後キャンパスで実施しました。

本科目は地域創生Tech Program一年次の必修科目で、京都府北部の自治体から提供された地域課題に対し、各グループに分かれ課題解決策の提案に取り組みます。例年京都府北部52町から課題を頂いていますが、今年度は受講者数が少なかったため、5つの自治体からテーマを頂き、課題解決策の提案に取り組みました。

本記事では、学生たちが課題解決に向けてどのような活動をおこなってきたかをテーマ毎にまとめています。(各自治体でのフィールドワークの様子は、フォトアルバムにも掲載しています!)

●宮津市

テーマ:京都丹後鉄道宮津駅舎を活用した京丹後鉄道の利用促進案を提案せよ

 

宮津市はこれまで、京都丹後鉄道と沿線自治体が一体となって地域の重要なインフラである鉄道を維持していくための取組を実施していましたが、駅舎の老朽化や店舗の空きスペースの活用方法等、令和6年度の宮津駅開業100周年を迎えるにあたりさまざまな課題を抱えています。今回は、宮津市の玄関口であり「顔」となる宮津駅のリニューアル案を検討し、地域の活性化や公共交通機関の利用を促進するための方法を考えました。

フィールドワークでは、実際に京都丹後鉄道を利用し宮津駅舎周辺を視察し、学生たちは市内に一日中滞在できる観光地が少ないことや周辺の飲食店が衰退しつつあることを発見しました。

そこで学生が考えたのが「空きスペースを利用した夜カフェ作り」「駅構内の灯篭を用いたライトアップ」の2つです。駅そのものを人が集まる場所にすることで、駅の利用者の増加だけでなく周辺地域の活性化につながることを狙いとしました。担当者からは、町との繋がりを踏まえた提案となっていてよかったという評価をいただきました。

   

●伊根町

テーマ:予約型乗合交通「いねタク」について、観光利用を促進するための方法を提案してください

 

伊根町では、今年の4月から伊根町予約型乗合交通「いねタク」の運行を開始しました。いねタクが運行され始めてから、町民の利用は行われているものの観光客への訴求が不十分であることが課題となっています。伊根町に訪れる観光客の多くは自家用車で訪れることが多く、一部の道路では渋滞が発生することもあるため、観光客に向けたいねタクの利用促進が求められています。

フィールドワークでは、実際にいねタクを観光利用する想定で予約から乗車までの流れを体験し、いねタクの情報にアクセスしづらいことや観光利用するにはいねタクの台数が不足していることが分かりました。

そこで学生たちが提案したのが、自家用車での観光が少ない外国人観光客に向けて、専属車両を用いた3時間程度のツアーを行うことです。ツアーを組むことにより短時間で多くの場所を巡ることができ、ツアーについて観光客が調べる中でいねタクの宣伝にも繋がることを狙いとしています。担当者からは、料金設定など細かく考えられていて参考になったという評価を頂きました。

   

●舞鶴市

テーマ:京都舞鶴港の賑わい・交流の創出に向けた大野辺緑地の利活用方策を検討せよ ~みなとオアシスにおける賑わい・交流創出~

 

「みなとオアシス」とは、地域住民の交流や観光の振興を通じた地域の活性化に資する「みなと」を 核としたまちづくりを促進するため、平成15年に設立された制度です。舞鶴市はクルーズシーズン以外にも新旅客ターミナルや大野辺緑地を利活用し、「みなと」と「まちなか」の賑わいを創出することを目標としています。

フィールドワークで大野辺緑地周辺を訪れた学生たちは、大野辺緑地とその周辺地域の間には物理的な距離があることと、観光客に周辺地域の魅力が伝わっていないことが大野辺緑地を活用できていない理由だと考えました。

最終報告会では、それらを「見えない壁」と定義し、「大野辺緑地周辺の環境改善」「商店街の店舗による出店」「街中回遊ルート提案」の3案を提案しました。担当者からは、キーワードを用いてアプローチをされているのがよかったと評価していただきました。

   

●福知山市

テーマ:アーキテンポや吹風舎を活用した新町商店街の賑わいづくり

 

吹風舎とは、「地域に根差し、地域住民に見える大学づくり」の一環として、商店街の空き店舗を「まちかどキャンパス」としてリノベーションしたものです。しかし、新型コロナウイルスの影響により利用者数の減少が大きな課題となっています。今回のテーマでは、賑わいづくりの担い手として、大学や学生を主体として学生と地域の交流や協働の活動を考えることを目的としています。

学生たちは実際に吹風舎を視察し、小学生の利用者が少ないことや、認知度が低いこと、看板撤去による魅力の低下等さまざまな課題があることを発見しました。

そこで学生たちが提案したのが、「小学生の職場体験」「無料塾の開講」「昔の街並みと現在を比較できる撮影会」の3つです。どの提案も吹風舎の長期的・継続的な利用を狙いとしました。講評では、子どもをターゲットにすることで保護者も巻き込むことができ、地域の賑わいづくりにつながる提案だったという声が聞かれました。

  

●綾部市

テーマ:旧市民センター跡地に整備する都市公園に設置する平和のモニュメントのデザインを考察してください。

 

現在、公園の整備を進めている旧市民センター跡地は、綾部市の一大イベントである水無月まつりや花火の観覧場所、各種イベントが開催できる公園として整備を進めていくことを予定しています。また、この場所は「藤山山頂」と「平和塔」を眺望できる位置にあることから、立地を生かしつつ平和の発信に繋がるようなモニュメントのデザインの提案を求められました。

フィールドワークでは、モニュメント設置予定場所や平和塔を訪問し、モニュメントのデザインを膨らませました。また、モニュメントの素材には綾部市らしさを取り入れようと、黒谷和紙協同組合で和紙の製造工程を見学しました。

最終報告会では、こうしたフィールドワークの内容を活かし、角が無く衝突のない平和な世界を連想した球体をイメージし、人との関わりを生むことができるよう内部に座れる機能を備えたデザインを2つ提案しました。担当者からは、市が希望した内容以上の提案だったと評価していただけました。

  

本授業は、これまで京都府北部について詳しく知る機会が少なかった学生にとって、地域の魅力を知る貴重な体験をする機会となりました。

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、感染対策を講じて2年ぶりにフィールドワーク合宿を実施することとなりましたが、自治体や協力機関の皆様のおかげで無事終えることができました。ご協力いただいた皆様に、改めて御礼申し上げます。