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2020.04.09

令和2年度 地域創生Tech Program 入学者の皆さんへ

祝辞

春爛漫の美しい季節となりました。今年も地域創生Tech Program生を新たに迎えられたことを、本教育プログラム長として誠にうれしく思います。本来であれば、皆さんに直接、お祝いの言葉を述べたいところですが、新型コロナウィルス感染症が蔓延する状況ではそれは叶わず、書面にて失礼いたします。

皆さんとはこの2月の入学前教育で既にお会いしました。その折に本学大学院の先端ファイブロ科学専攻の先輩たちの研究のポスタープレゼンテーションを見学してもらいました。皆さんはそこで、先輩たちが企業や社会が抱える課題に様々な方法で立ち向かっている様子を知ったと思います。そして近い将来にそういった課題に立ち向かえる人材にきっとなるのだという、皆さんの希望に溢れた表情を私は今でも覚えています。本学でしっかりと専門性、リーダシップ、外国語運用能力を磨き、本学の教育目標であるテックリーダとして立派に成長されることを強く願っております。

さて皆さんご存じのとおり、新型コロナウィルス感染症が世界中に蔓延し、日本のみならず世界各国が未曽有の危機に瀕しています。有効な治療法を試行錯誤している中で人的被害、経済的な被害がどこまで広がってしまうのか全く予断を許さず、世界中に暗雲が垂れ込めています。

しかし幾つかの希望もあります。日本が新型の悪性インフルエンザのために備蓄していた薬剤アビガンの指定病院での観察研究で、多くの回復例が日本感染症学会のホームページに報告されています。また日本から世界各国に向けてアビガンを提供することで、多くの国で臨床試験が始まりました。さらに結核予防のために開発されたBCGワクチンが人の非特異的免疫力を高めることで、BCG接種の接種率の高い日本のような国で有意に新型コロナウィルス感染症の死亡率を下げている可能性が示唆されています。これもオーストラリアなどでの臨床研究が始まりました。アビガンは当時・富山大学の白木博士が2014年に開発したものです。また日本のBCG接種はフランスのパスツール研究所から1924年に志賀博士が日本に菌株(Tokyo 172)を持ち帰ったことから始まりました。ともに日本の知の先人たちが努力して成し遂げた結果であり、それらが世界を席巻している危機に対して改めて注目されていることは、日本の大いなる誇りです。皆さんがそのあとに続く人材へと成長されることを祈念しています。

この危機を乗り越えたのち、また皆さんとキャンパスでお会いしましょう。楽しみにしております。

 

令和2年4月9日 地域創生Tech Program長 桑原 教彰