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2021.10.08

令和3年度 地域課題導入セミナーを実施しました

823()825()3日間、地域課題導入セミナーを行いました。(地域課題導入セミナーとは?前回の記事はこちら)

本科目では、京都府北部52町から提供された地域課題に対し、7つのグループに分かれ、課題解決策の提案に取り組みます。当初、京丹後キャンパスでの合宿を予定していましたが、820日に京都府に緊急事態宣言が発令されたため、急遽合宿形式を取りやめ、次の通り予定を変更することになりました。

823()自治体からの課題説明、グループワーク@松ヶ崎キャンパス

824()フィールドワーク@京都府北部

825()最終報告会@松ヶ崎キャンパス

ここからは、課題解決に取り組んだ学生たちの活動を、グループ毎に紹介していこうと思います!

 

■綾部市

テーマ:頻発化・激甚化する自然災害をめぐる現状と課題を考察してください

平成25年~30年にかけて発生した台風や豪雨による被害に悩む綾部市の課題に取り組むメンバーは、フィールドワークで災害跡地を訪れました。

  

災害現場を何カ所も視察し、自然災害の恐ろしさや規模の大きさを改めて認識した綾部班は「綾部市と市民の取り組みや災害に対する意識のすれ違い」が問題であるという結論に至りました。最終報告会では、「お茶会in避難所」、「防災はがきの作成」という、二つの解決策を提案しました。

「お茶会in避難所」は、各家庭毎に作成した災害後のタイムライン(被災後72時間の間に、どのような動きをするかをまとめたもの)を、他の家庭とお茶会で話し合うことで、避難について考え直すきっかけとなるイベントです。

また、近くの避難所や、過去に災害のあった危険地帯、緊急連絡先等を記した「防災はがき」を配ることで、いざという時でもこれ1つで必要な情報が分かるような仕組みです。綾部市の担当者からは「防災はがきはすぐに実装を検討できるいいアイデアだと思いました。」と、高評価をいただきました。

 

■伊根町

テーマ:伊根町公式SNSアカウントを活用し、ファンを増やす方法について提案してください。

伊根町は観光政策の一環で、TwitterFacebookInstagram等、様々なSNSを活用しています。これらのコンテンツを更に盛り上げていくにはどうすればいいか、という課題に取り組む伊根班は、フィールドワークで様々な観光地を訪れました。

 

他の自治体が運営するSNSアカウントとの特徴を比較し、伊根町のSNSは更新頻度が低いことに気づいた学生らは、人の目につくことの重要性を指摘し、まずは自治体自らが毎日投稿をする提案をしました。

そして、「#Inestagram」を利用したフォトコンテストや、青島(伊根湾にある無人島で、古来より神が宿る島聖なる島と言われている。)でのプロジェクションマッピング等、観光客へSNS投稿を促す様々なイベントを提案しました。

 

■京丹後市

テーマ:海洋環境問題について考えよう

近年、海外からの大量の漂着物や、利用者によるゴミの放置によって、海岸の環境悪化や機能の低下、漁業への悪影響等が懸念されています。京丹後市も例外ではなく、国立公園または国定公園に指定されている豊かな海岸を守るための対策が求められています。京丹後班はプラスチックゴミに焦点をあて、課題解決に取り組みました。

   

フィールドワークでは、京丹後市の地域おこし協力隊として活動する八隅孝治さんの案内により、海岸で清掃活動を行い、ごみで溢れる最終処理場の状況を見学しました。

その後、八隅さんの工房を訪れ、プラスチックゴミを個人でリサイクルし、スマホケースやアクセサリーに生まれ変わらせる、「プレシャスプラスチック プロジェクト」の活動現場を視察しました。

フィールドワークを通じて、海洋環境問題を解決するには、一人一人の意識の変化が一番重要であると痛感した学生たちは、「アート×海洋問題×テクノロジー」をテーマとしたアート展を開催することを提案しました。提案だけではなく、実現に向けて取り組みたいという学生もおり、今後の動きに期待です!

 

■福知山市

テーマ:奥京都ラーケーションプランの作成(※ラーケーション=LearningとVacationを融合した言葉で、バケーションを楽しみながら学ぶという新しいスタイルの学び方のこと。)

福知山市では農業従事者等の高齢化や若年層の労働力不足などの問題が深刻化しています。今回、課題解決の一案として、福知山の資源を活かしたラーケーションプランの作成がテーマに選ばれ、学生らは若者に興味を持ってもらえるような事業提案に取り組みました。テーマの枠組みとして、夏休みに大学生が1か月程度福知山に滞在し、平日に働き、休日に遊ぶプランを作成する事が求められました。福知山に興味を持ってもらい移住を促進し、働き手世代の確保に繋げる事が目的の事業となっています。

 

 

福知山班は、「学び」のテーマを「ジビエ」に設定し、大学生らが廃校を利用したレストランでラーケーションを行う案を提案しました。さらに、狩猟にドローンを用いれば効率があがるのではないか、という若者ならではの発想から、廃校を狩猟免許講習やドローン検定講習の場としても利用するというプラスαのアイデアも披露しました。自治体の担当者からは「単にジビエをレストランで出すだけでなく、他の地域にはない体験と組み合わせたアイデアが面白い。」という高評価をいただきました。

 

■舞鶴市

テーマ:京都舞鶴港の賑わい・交流の創出に向けた大野辺緑地の利活用方策を検討せよ   ~みなとオアシス登録を目指して~

「みなとオアシス」とは、地域住民の交流や観光の振興を通じた地域の活性化に資する「みなと」を 核としたまちづくりを促進するため、平成15年に設立された制度です。

舞鶴市は西港前に広がる大野辺緑地をみなとオアシスに登録することを目標としており、今回は登録に向けた緑地の具体的な活用策の検討がテーマとなりました。

 

 

学生らはフィールドワークを経て、大野辺緑地の周辺に街をPRできるものがないことや、

観光客を西舞鶴に留めておくようなツアーがないこと、古くからの街並みが残る寺町エリアの存在が知られていないことに気づきました。

そこで、大野辺緑地を「西舞鶴を知ってもらう」ためのエリアに開発し、観光振興を促すことで、みなとオアシス登録に一歩近づくのではないか、というアイデアを発表しました。

 

■宮津市

テーマ:宮津市街地の歴史的建造物の保存活用策について

国指定重要文化財の三上家や多くの歴史的建造物を保有する宮津市からは、それらを「保存しつつ、活用する」という課題が提供されました。

 

 

学生らは、宮津市の歴史的建造物には様々な種類があること(寺院、邸宅、教会、現代建築等)、またそれらに面白い逸話があることに注目し、「歴史的建造物の価値の顕在化」を目指す方針を立てました。建造物内でのイベント開催等の観光客に向けた政策だけではなく、宮津市の住民が主体的に歴史的建造物について学び直すことで、内外から宮津市街地を活性化させ、歴史的建造物の価値を広める提案を行いました。

 

■与謝野町

テーマ:与謝野町内で持続的に確保のできる肥料原材料の提案

与謝野町内では、町内及び近隣市町の「おから」「魚のアラ」「米糠」などの有機質資材を原材料として生産した肥料(豆っこ肥料)を使用し、稲作やその他農作物を育てる自然循環農業に取り組んでいます。しかし、原材料の確保の難しさやコストの増大等の問題が顕在化していることから、現在の豆っこ肥料に代わる、新たな肥料を提案するという課題が提供されました。

 

 

学生らは、肥料に必要な成分が「窒素、リン酸、カリウム」であることを分析し、そこから町内で調達可能な「酒粕、モルトフィード、もみ殻」を利用した、新しい肥料を発案しました。材料の配合比率が確立されていないなどの課題はあるものの、輸送コストの大幅な削減が期待され、与謝野町ならではの材料を活用する斬新なアイデアに、自治体担当者からは「自然循環農業を維持できる肥料として、今後も引き続き研究をしてほしい」との高評価をいただきました。  

コロナ禍という状況下で、例年より調査やグループワークの時間確保が困難であったにも関わらず、どの班も自治体から高評価が得られました!また、今回初めて京都府北部に足を運んだ学生も多く、貴重な経験が出来たのではないかと思います。ご協力いただいた自治体の皆様、本当にありがとうございました。

こちらにグループワークや最終報告会の様子を掲載しています。是非チェックしてみてください!